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ざくっと解説 労働基準法(その1)

ざくっと解説 労働基準法(その1)

会社における労務管理に欠かせない情報としての法律を何回かに分けて解説していきます。

前提

労働基準法(略して、労基法)において、冒頭の第1条は以下のように示されています。
第1条1項
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
第1条2項
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

この労基法は労働条件において最低限度を定めた法律ですから最低限守るべきものであり、かつ、この法律を理由として条件を低下させてはいけないと定められています。
労働者が安心して働ける環境を作ることは会社の発展にもつながることにもつながりますので、きちんと押さえておきたいところです。

今回以降、何回かに分けて労基法を解説していきたいと思います。

会社と従業員の関係

会社や個人事業主が一人でも従業員を雇用すると、労基法上の「使用者」となります。
この使用者というのは、社長や理事長などの経営者などのトップの方だけには限りません。労基法に係わる労務管理を任されている方々(例えば、工場長、支店長、人事部長などなど)も含むことになります。(第10条)

一方、会社や個人事業主に雇用された従業員は、労基法上の「労働者」となります。
労働者とは、正社員、契約社員、準社員、嘱託社員、パート、アルバイトなど名称はいろいろありますが、そのような名称にとらわれることなく、労働に対して給料が支払わる従業員の事です。(第9条)

「労使協定」などという言葉をご存知かもしれませんが、この”労”と”使”は、言わずもがな労基法の「労働者」と「使用者」の頭の文字を取ったものとなっています。

労働契約

「会社に雇う・雇われる」という事が労働契約を結ぶという事になるわけですが、そもそも「契約」というのは口約束でも成り立ちます。

ただ契約が口約束だけだと、後々、言った言わないが起こりえますので、書面で結ぶことが一般的な契約で行われている事です。

労基法にもそのような定義が第15条に定義されているのですが、これは「契約」とまでは必要とされておらず、(最低限として)「明示」することとされています。
どんなことを「明示しなければならないのか?」については、次回以降に解説を回したいと思います。

少し話を戻して、労働契約の時に労基法に定義されている内容に違反する契約をする事を禁止しています(第13条)
以下に例を挙げます。
(1)3年を超える契約期間を設定する(第14条)
(2)仕事のミスに対して、あらかじめ違約金や損害賠償額を決めておく(第16条)
(3)前借金分の賃金を支払わない(第17条)
(4)一定の期間中に退職した場合には、賃金を支払わない(第24条)
(5)残業代を払わない(第37条)
(6)年次有給休暇を与えない(第39条)

(1)に関して。原則3年を超える期間設定はいけない事になっているのですが、例外としては
・高度で専門的な知識を有する者
・60歳以上の者
との契約については、5年以内までの契約は可能です。
それ以外の例外としては、
・一定の事業の完了に必要な場合(土木工事などの有期事業)
に関して、その事業の終わりまでは可能となっています。

(2)に関して。例えば「遅刻したら1,000円の罰金」「制服を破いたら5,000円」「〇〇壊したら1万円」などと金額をあらかじめ決めておくことがNGとなっています。
しかしながら、実際に発生した損害額(例えば、社用車の修理費用50万円と見積もりが出た額)を請求する行為は問題はありません。
ただし、ここからは裁判例としてにはなりますが、その実際の損害額を労働者に全額負担させるようにはなりません。労働者に故意や重大な過失がなければ、どれだけ行っても最大5割ぐらいで、会社よりも労働者の過失割合が高いということは無いと思います。

(3)に関して。前借金と賃金を相殺してはいけないという条文なのですが、裁判例としては真に労働者の意思に基づいて行われた相殺の意思は有効となっていたりするので、刑事的には労基法違反が残りますが、民事的にはOKという形になります。
ただし、会社から労働者の同意も無く一方的に賃金と前借金を相殺することは該当条文どおり、してはならない事になっています。

(4)に関して。例えば2、3日だけ勤務して、突然、来なくなるようなアルバイトがいたりしますが、突然来なくなるのですから会社も迷惑するかとは思います。それであっても、その2、3日労働した事実は無くなりません。
労働してもらったらその分の賃金を払うというのは大原則ですから、少なくともその突然辞めたアルバイトに対して、いつでも賃金が払える状態にしておかなければなりません。

(5)に関して。残業の事の詳細は他の回での説明とします。とにかく、労働してもらったらその分の賃金を払うというのは大原則ということです。残業があったなら、その分もしっかり払う必要があります。

(6)に関して。たまに聞くのが、アルバイトやパートに有給は無いと言いきる使用者がいますが、付与される日数に違いがあったり、その付与の条件はあっても、何の判定も無く「パートだから」という理由のみで有給が全く無いということはありえません。有給の日数や条件は他の回の説明といたします。


前述までの(1)~(6)で例として挙げたような契約を結ぶことは、労基法にて定義されている内容に反する内容となるため、労基法通りの内容に修正されることになります。
これらは、労働者が合意していても無効な契約となるので、「労働者から同意もらってるから」などの言い訳は通用しない事になります。

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草津市に事務所を構えており当事務所へご来所いただいても結構ですが、滋賀県内各市町村(大津市、守山市、栗東市、野洲市、甲賀市、湖南市、東近江市、近江八幡市、日野町、竜王町、彦根市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、米原市、長浜市、高島市)、近隣他府県であれば、ご要望によりご自宅やご指定の場所までご訪問してご相談をお伺いしております。

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